■悲しみごとの記載は淡墨で・・・。 フラワーショップ乃木坂では、仏事アレンジに添える「立て札」と、「メッセージカード」の記載文字は 淡墨色 を使っています。 ■淡墨を使う理由 「涙でにじんで淡墨になりました」、という日本古来の考え方から来ています。墨の濃淡で感情や、相手への思いやりを表現しようとする日本の素晴らしい文化なのですが、花屋という立場から見て、この「淡墨」の文化が花屋業界から急速に失われてきているように感じています。 職業柄、葬儀場に行ったり、お葬式に参列したりする時に、供花に添えてある「立て札」に目がいってしまうのですが、黒い筆文字で記載されている事がとても多いのです。お付き合いの有る お花屋さん でも、「淡墨」という言葉すら知らず、「立て札」や「メッセージカード」を黒色の文字色で記載しています。先日、お花屋さん達が利用する花材問屋の方と、この「淡墨」の事を話した所、意外な事が判ってきました。 ■立て札(供花) で使う文字色の考察 花屋さん達が利用する花材問屋の方は、この道何十年という超ベテランの方なのですが、昔は葬儀場でも木でできた「立て札」(木札)には「淡墨」で文字を書いていたそうです。そして、使用済の「木札」は表面を削る職人さんが居て、何度も再利用されていたそうですが、今の葬儀屋さんでは「木でできた立て札」が無くなり、パソコンで印刷した「紙の立て札用紙」に印刷して、予め作られている立て札ケースに印刷した用紙を交換している為、「木札」の表面を削る職業が無くなり、職人さんは消滅してしまったそうです。 花材問屋の方との会話で、パソコンで「立て札」を印刷するようになり、「立て札」に書かれる文字色がパソコンで印刷する初期設定の黒色の状態で印刷してしまった為に、「淡墨」の文化継承が途切れてしまったのではないかと云う仮説にたどりつきました。※フラワーショップ乃木坂 独自の考え方です。予めご了承願います。 「淡墨」を使う理由は、「急な事なので墨が十分に用意できなかった」事を表すと解釈する場合もありますし、それぞれの地方での仏事マナーの違いも有りますので、供花での立て札は「淡墨」で書かなくてはいけないと一言で済む問題ではありませんが、「淡墨」を使う意味を花屋であるフラワーショップ乃木坂では、基本的な考えとして対応しております。 |